犬は喜び庭駆け回る・・・雪って
むかしから犬は喜びっていうけれど
昨日は関東平野に雪がふりましたね。
私は車ででかけていましたが、帰り際に視界がいっきに見えなくくらい降りました。幸い外気温が高かったため積もる事はありませんでしたが、予報にない突然の雪にびっくり!
きっと犬達は喜んだことでしょうね。
童謡の「雪」に、「犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる」とあるように昔から雪がふると犬は喜ぶと言われてきました。
ではなぜ雪がふると喜ぶのか?
実は明確な答えはありません。
一般的には犬は新しいものが好きな生き物ですし、遊ぶ事が好きな動物なので雪がふることで日常に見る景色や匂いに変化が生じて犬は喜ぶのだといいます。
でも、雪国の犬達はそんなこと日常的にあるでしょう、それでも喜ぶ犬は沢山いるといいますから、それだけでは正しく言い表しているとはいえません。
私の場合、みなさんに昔からお話ししている事は、犬の目の視神経と見え方についてです。
そのことを中心にお話をすすめてまいります。
人にも犬にも二つの視神経があります。
一つは色彩の視神経です。
人は3種の錐体細胞と呼ばれる視細胞が受ける刺激によって色を認識しています。(三色覚)それに対して犬は2種類の錐体細胞しか持っていません。
犬は黄緑色と紫色は違う色として区別をすることができますが、赤からオレンジ、黄色、黄緑、緑色にかけての色は一つの色としか感じることができません。
視神経の数も人間の10分の1ほどしかなく、もしも犬が車の免許をとることになったら、犬は全員メガネが必要となります。
それに近くのものにピントを合わすのが不得意です。
ところがもうひとつの視神経である明暗の視神経(捍体細胞)についてはよく発達しています。
真っ暗闇でも犬達は動き回る事ができますよね。
犬も人も、明るいところでは、錐体細胞のみがはたらき、色で景色を見ますが、明暗の視神経である捍体細胞は休止状態になり、反対にうす暗くなると捍体細胞のみがはたらき、色の視神経である錐体細胞が今度は休止状態になるといわれています。
明暗の視神経が発達している犬の場合は日中に色で景色を見る事より、夜の暗い時間に景色をみることのほうがはっきり見えているわけです。
で、雪がふると色のない世界になります。
そうなると明暗の視神経の出番になるわけです。
人でも犬でもそうですが、光が沢山はいってくると目を細めますね。
犬は目を細めてもなお光が沢山入ってくるので興奮するのだと私は思っています。(光に対する感度は人の目の5~6倍)
そして、影がくっきりできるし、ある意味で鮮明な映像が見えているのではないかと思うのです。
もちろん冷たい雪が足に密着したり、白いものが空から降ってくる光景は「創造」と「科学」という概念がない犬にとっては理解しがたいことですから、それに興奮するということもあるでしょうね。
ということで、犬が雪に興奮するのは、景色がくっきり見えるためだと私は思うのです。
でも、雪がふって一番興奮し驚くのは、積もった雪の日の翌朝、公園をぶらぶらと散歩していると、いつもの広場にドンと鎮座する大きな雪だるま・・・
犬ははたと立ち止まり、硬直したり、吠え立てたり、おそるおそるしのびよりにおいを嗅いだり・・・
そう、彼らにとって雪だるまはいつも以上にくっきりとした人型の何かなのです。
それに大抵の雪だるまは体型がぽっちゃりしていて地面に座っているので、こっちを凝視しているようにも見える。
なんといっても表情が少ないので喜怒哀楽がわからない。
で、大抵の犬はゆきだるまにマーキングをして確認作業を終了し、次にくる犬に「こいつはもう大丈夫」って印していく。
夕方になると白い雪だるまの裾は黄色い衣装をつけることになるわけです。
犬ってほんと面白いですね。