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ラブラドールレトリバー

私にはラブラドールレトリバーのアールがいました。
当時は珍しいチョコレート色のラブラドール。
始めましては、ブリーダーさんのところで、生まれてまもない7頭のパピーたちが産箱の中でうごめいていました。
どの子も元気に走り回ったりおもちゃで遊んでいる中で、片隅にぼーっと座ったままの子がいました。
一際大柄ではあるものの、呼んでも来ないし、他の子が突っかってもノリが悪いし、、、
私はその子に決めたのは、なんだかよくわからないけど一筋縄ではいかなさそうな予感がしたからかもしれません。

ラブラドールらしさ

もう20年以上も前の事ですが、予め社会化の大切さは理解していたので、アールが来たその日からご近所の方や子供たちを招いたり、公園に行ったりしました。
社会化はある程度上手くいってストレスのない生活をしていましたが、元々の性格がのんびりしていて優しくて、ある意味で弱っちぃやつでしたので、いつも一歩引いた子でした。
なのでご近所さんたちからも可愛がられ、何処にいってもそののんびりとした性格が受け入れられていました。
しかしながら未去勢の男の子だった為、よくケンカを売られました。
見た目だけは30キロを超える細マッチョなので強そうに見えるのですが、とにかくそれが嫌でいつもピーピーいっていました。
たまに、何をどう間違えたのか喧嘩の仲裁に入ったり、ちょっとだけ闘おうとして、逆に返り討ちにあっていました。
それ以外には何の問題もなかったのですが、私は意を決してアールが7歳の時に去勢をしました。
それからというもの喧嘩を売られる事はほとんどありませんでした。
それどころか中性化した為、未去勢のオス犬たちに好かれるようになってしまいました。
まぁ、アールはこれでよかったのだと思うともう少し早く決断すれば良かったと反省しきりでした。

ほとんど失敗

アールとはディスクドッグ大会にも訓練競技会にも参加しました。
ボール遊びばかりしていたのでディスクを始めた頃は全く追わないで苦労しました。
その話はまた今度、、、
訓練競技会は私の力不足経験不足からなかなか結果に結びつきませんでした。
アールの一歩引いた性格も、殺伐とした競技会の雰囲気に馴染めずにいました。
それでも私たちはそれぞれの失敗を糧にして一つ、また一つと自己ベストを引き出す事になって行きました。
私たちのチャレンジは9割失敗で1割成功くらいの出来でしたが、ディスクドッグでは数々の入賞、アジア代表にもなって、訓練競技会でもグランドトレーニングチャンピオンになり家庭犬の試験も全て合格しました。

ラブラドールレトリバーでよかった

ラブラドールレトリバーでよかったと今思います。
ラブラドールレトリバーは賢く万能と言いますが、本当にそうです。
ただその能力を引き出すには人の力が必要、、、まぁそれはどの犬種でも同じなのですが、特にレトリバーはそれが大切だと思います。
力といっても、パワーではなく、どちらかかと言うと忍耐力や寛容さ、そして粘り強く伝えて行く情熱でしょうか?
何にも出来なかったアール、失敗続きだった私たちがたくさんの忍耐と情熱で乗り越えていった僅かな成功が今のアウラの屋台骨になっています。
ラブラドールレトリバーには私以上の寛容性、忍耐力があって、私は本当にラブラドールでよかったと思います。
これがボーダーコリーだったら私は今の仕事をしていないかもしれません。
相変わらずデザイン業界で開発や絵を描いていたかもしれません。

人生を変えたラブラドールレトリバー

私とアールとの小さな成功が共感を呼んで、素人だった私にトレーニングのオファーをたくさんいただくようになっていきました。
まさかまさか、当時の私が今の私を想像できたでしょうか?
自分でも信じられない人生の展開です。
あれからアールは私の前から姿を消しましたが、どんな時にもあの時の忍耐、情熱、寛容性のスイッチを入れて犬たちと向き合います。
その時、アールがそっと片隅から「がんばってね」と声をかけてくれます。

昨日のラブラドールレトリバーのルイくんともそんな時間を楽しみました。
幸せな時間をありがとう!

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