犬の問題行動はどこにあるのか
犬の問題は本当に犬の問題なのでしょうか?
アウラにはさまざまな要望を持ってレッスンに来られます。
パピーからスタートすれば一番良いのですが、全てがそうではありません。
飛びつき、吠える、噛む、引っ張ると言ったよくある問題を抱えてレッスンを始める事も多いのが実情です。
飛びつかせる、吠えさせる、噛ませる、引っ張らせる
じつは犬は自らが飛びつきたいとか、吠えたいと思っているわけでなく、飼い主さんがそれを希望していると思っていて、一生懸命にそれに応えているだけの場合がとても多いのです。
もちろん飼い主さんは全否定するでしょう。だってそんな事を希望する訳ありませんからね。
でも、じゃあ私がその飛びつく、吠える、噛む、引っ張る犬と向き合うと瞬時にその行動は無くなります。
もちろんリードを首上にかけて強いストレス(生命的危険)をかけるとかトリートで釣るわけではありません。
カウンセリングの時にその姿を見て、初めて犬には問題がなくて、自分に問題があったのだと知る訳です。
早ければ良いが何歳にもなってからでは
早くに飼い主さんが気がついて自分を改善していければすぐ問題は改善されて行きます。
しかしながら長くこの状況を続けているとそれ相応に時間がかかります。
なぜなら、人間が自分の行動や意識を変えられなくなっていくからです。
もちろん犬はパピーであれ、1歳であれ5歳であっても改善されて行きます。
なので、私もお伝えしながら根気よく同じ事を繰り返してお伝えしていきます。
そしてある時、「あぁそうか、自分の問題なんだ」と気づくのです。
自分の目の前で私とセッションすると信じられないくらい楽しく、そしてなんの問題もなくできる自分の犬の姿がその瞬間に目ではなく心に飛び込んでくるのです。
それまでは、ただ目に映っているだけで「これは何かの間違いだ、私達は間違っていない」といった正常性バイアスがかかっているのです。
犬の速度、犬の時間に沿うように
日本ではまだまだパックトレーニングのような古くてアニマルウェルフェアを無視した考え方や方法がもてはやされています。
犬が狼から離れて2万年にもなろうとしているにも関わらず狼をベースに考えて犬を見ている。
なぜ狼の群れから離脱して人間と暮らすようになったのかを理解していればそれが大きな間違いだと、歴史も考古学も行動学も全てが証明しています。
しかしながら従えたい、序列をつけたいという霊長類である人間の弱み、習性が犬を抑えてしまいたいと思うのです。そしてそれによってうまく行く事に強い喜びを覚えるのです。だから戦争はなくならない。
地球上で争いを繰り返し、殺戮や虐待をするのは霊長類だけなのです。
私はむしろ、弱さを持った犬に寄り添って伝える事を基本としています。
子供と犬は大人である私たちより、何をするにも時間がかかるのです。またうまくできないのです。やる事も遅いのです。それに私達はイライラし、叱り、負の感情を伝えてしまいます。
でも、もしも子供が大人と同じようになんでもさくさくできたらどうでしょうか?まるで小さな大人のように?それはとても違和感がありますね。犬もまたそうです。
つまり、犬と子供は、すぐできない、間違える、感情的に振る舞う、時間がかかるのがデフォルトなのです。
それが子供であり、犬なのです。
そして子供は成長して行き大人になりますが、犬は永遠に犬のままなのです。
ずっと時間がかかるし、間違えるし、感情的になります。
それが大人の人間には問題行動に見えるのですね。
でも、犬は待っています。自分と同じ速度で同じ感じ方で、喜びを共有できる瞬間を!
アウラのレッスンはそこにフォーカスしたエモーショナルトレーニングを行なっています。
それは言い換えるなら犬と一体化したレッスンなのです。その為には大人という複雑な人間(霊長類)の殻を剥がす必要があるのです。それができればあとはあっという間に繋がって行きます。