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動物愛護法改定について

動物愛護法改定について皆さんはご存知でしょうか?
おそらく大半の人は知らないでしょうし、聞いたことはあっても具体的に何を示しているのかわからない方が多いと思います。
動物愛護法は正確には「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)といいますが、昭和48年に議員立法で制定された法律です。平成11年、平成17年、平成24年、令和元年に議員立法による主たる法改正が行われています。
法律の目的は、動物の愛護と動物の適切な管理(危害や迷惑の防止等)に大別できます。対象動物は、家庭動物、展示動物、産業動物(畜産動物)、実験動物等の人の飼養に係る動物になります。

ザル法と呼ばれる動物愛護法

こんな書き方をすると突かれそうですが、業界内では周知の事実ですのであえてそう書きます。
本来は動物たちを守るための法律であるべきですが、実態は動物を扱う業者を守る法律でした。
それわすこしづつ改定して今に至ります。
そして、2021年6月1日よりようやくすこしだけ動物たちを守る法として施行されはじめました。
といっても日本は動物愛護としては欧州の先進国におくれること40年とも永遠に追いつけないとも言われています。
そのひとつをご紹介します。

飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造並びに当該施設の管理に関する事項

この事項は、繁殖者やペットホテル、展示、貸し出し業、預託訓練者、競りあっせん業などの動物を継続的に飼育する場合の具体的な飼育環境などについて定めたものです。
特筆すべきは、展示販売や繁殖業者、ペットホテル、一時預かりでの犬の生活する空間について基準をもうけられたことです。
これまでは空間のサイズについて具体的示されることがなかったため、悪質な場合やそうでなくても常態化している業者では狭い空間に閉じ込めたままでした。
最近、ペットショップのあのガラスケースの様子がすこし変わったので「おやっ」と思った方も多いと思いますが、ほんの少しだけ空間が広がりました。
といってもほんのわずかです。決して十分ではありませんし、先進国からすればやはり遅れっぱなしには違いありません。
まぁ、すこしは良くなったので進歩なのですが・・・・・
具体的には

寝床や休息する場所は縦が犬の体長の2倍以上、横が体長の1.5倍以上、高さは体長の2倍以上

わかりにくいので子犬で説明しますと、3ヶ月ほどのボーダーコリーの子犬の体長が40センチだとすれば
寝床や展示にかかわるケージやケースの縦が80センチ、横が60センチ、高さが80センチとなります。
これが1日の大半を過ごす空間のサイズとなります。
これが広いと感じるか狭いと感じるかは個人の主観によるでしょうが、これまではこのサイズすらなかったのです。
なのでペットショップのショーケースはいままでの1つのケースを2つつなげて展示していたり、天井を外して展示段数を減らしたりしていますね。

運動スペース

これまであまり触れられることのなかった運動スペースについてサイズが示されるようになりました。これはとても意義のあることですが、そのサイズがちょっと・・・・なのですが大躍進です。
先ほどの寝床の大きさを元にして運動スペースはその床面積の6倍以上となりました。
そしてそこには1から2頭が入ることになります。3頭以上になる場合はその都度1頭あたり3倍の床面積を確保しなくてはなりません。
具体的には、3ヶ月ほどのボーダーコリーの子犬の体長が40センチの寝床のサイズが
縦が80センチ、横が60センチ、高さが80センチでしたのでその6倍、つまりこのサイズの箱が6個置ければいいわけですから
長さが2m40cm、横が1m80cmということです。ここで子犬が2頭まで入れるということです。もう一頭増やす場合は
長さがはそのままで、横が60センチ増えて2m40cmということです。1頭ふえるごとに幅が60センチ大きくなっていきます。
これはケージでの飼育、わかりやすく説明するとペットショップでみる透明ケースでの管理の場合はずっとそこにいれておくのではなく、ちゃんと運動もするスペースを別で作りなさいねということです。
それとは別に、法律では平飼いと謳っていますが、運動スペースと寝床が一緒になった空間では、運動スペースの中に寝床となるクレートなどを置けば良いことになっています。
そうになると1頭ごとに運動スペースを設ける必要がありますので、大半の飼育販売業者は作ることができないか、頭数をへらさないといけないわけです。
それが良いのか良くないのか疑問は残るところではありますが、いまのところそうなっています。

現実と法は違う

で、実態はというと残念ながら正しく機能はしていません。
たとえばレッスン場の近くにあるホームセンター内のペットショップでは、たしかに寝床のスペースは倍になり、展示頭数もへりました。
しかしながら運動スペースは1つしか設けておらず、そこに入れられている犬を見ることはほとんどありません。
いたとしても少々大きくなりすぎている子であったり、お客さんが見たいということで出された犬です。
つまり実際のところは運動スペースは作ったものの、それは1頭分でしかなく、販売している犬の数を満たすものではないということ。そして寝床から1頭づつ出して運動スペースにいれるような時間も人材もないため空の運動スペースであるということなのです。
もちろん全てのところがそうではないのですが、一応それでも法律は守っていることになってしまうのです。
まぁ、以前と比べれば前進したのですが、むしろそれ以前が酷すぎたとも言えます。
まだまだザル法ではありますが、それでもたくさんの人たちの努力によって改定されたわけです。
この先ももっともっと犬たちにとって過ごしやすい環境になることを願ってやみません。

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